【フロー図あり】営業プロセスとは?可視化方法から管理法まで体系的に解説

営業プロセスとは

営業プロセスとは、見込み客から成約に至るまでの一連の流れを指し、企業の売上向上に欠かせない要素です。

各段階で目標や行動指針を明確にすることで、営業活動の効率と質を高めることができます。

営業プロセスの「見える化」はマネジメントに必須

営業プロセスの見える化は、マネジメントにおいて極めて重要です。

営業プロセスを見える化することで、

  1. 各段階での改善点を迅速に把握し、適切なフィードバックや支援を行うことが可能
  2. 営業活動全体の進捗把握によって、最終的な予算着地の予測が可能
  3. 各段階でのパフォーマンスを定量的に評価で、公平かつ透明な評価が可能となり、モチベーションの向上や業績の向上に繋がる

一方で、営業プロセスが不透明で、実績しか見えない状況では、どの段階で問題が発生しているのかが分かりにくくなり、結果として効果的な改善策を講じることが難しくなります。

実績ベースの評価に頼るだけでは、営業活動の質が向上せず、長期的には企業の成長を阻害するリスクもあります。

営業プロセスの見える化は、効果的なマネジメントを実現し、営業活動を成功へと導くための重要な手段であるといえるでしょう。

フロー別|営業プロセス

ここでは項目別に営業プロセスを説明します。

段階内容
戦略設計段階業界状況・コアコンピタンスの分析競合の状況、自社商材の強みを分析
顧客企業・部門策定自社の商品・サービスに最適な顧客や部門の特定
営業手法策定自社の商品・サービスに最適な営業手法の策定
顧客接点創出段階リード獲得見込み客の獲得
アポイント獲得商談機会の創出
商談段階ヒアリング提案の為のニーズ把握
提案最適な解決策の提案
クロージング成約の為の最終調整
成約後対応段階アフターフォロー成約後の定期的なサポート
クロスセル・アップセル提案成約した商品より良い商品の提案

戦略設計段階

営業活動の成功は、確かな戦略設計から始まります。

  • 業界状況・コアコンピタンスの分析
  • 顧客企業・部門策定
  • 営業手法策定

業界状況・コアコンピタンスの分析、そしてターゲットとする顧客企業や部門の策定が、この段階での重要な要素です。これらの要素を的確に分析・策定することで、効果的な営業手法を選定し、次のステップでの具体的な行動につなげる土台を築きます。

業界状況・コアコンピタンスの分析

営業戦略の第一段階は、業界状況と自社のコアコンピタンスを分析することです。

市場のトレンドや競合サービスの内容、シェア率などを把握し、4Cなどのフレームワークを活用して分析を行います。これにより、業界全体の動向を理解すると同時に、自社が持つ独自の強みや優位性を明確にできます。こうした分析を基に、効果的な営業戦略を立案し、競争力を高めることが可能となります。

営業の戦略立案やコアコンピタンスについて詳しくは下記記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。

顧客企業・部門策定

業界状況と自社のコアコンピタンスの分析ができたら、自社の商品・サービスに最適な顧客や部門を特定しましょう。ターゲットとなる顧客層を明確にすることで、効果的なアプローチが可能になります。

その後、特定した顧客や部門を基にターゲットリストを作成し、営業活動の計画を立てましょう。

リスト作成については下記記事でご紹介しておりますので、ご覧ください。

営業手法策定

業界状況と自社のコアコンピタンス、顧客企業や部門の策定が完了したら、次に営業手法の策定に進みましょう。

営業手法にはアウトバウンド営業とインバウンド営業があり、それぞれに適した商材が存在します。

特性向いている商材営業手法
アウトバウンド営業・顧客へ直接アプローチ• 新商品
• 高価格商品
• 専門性の高いサービス
• B2B商材
• 定期購入やカスタマイズが必要な商品
・テレアポ
・飛び込み営業
・メール営業
・フォーム営業
インバウンド営業・顧客がHPやWebサイトから問い合わせ• 既存商品
• デジタル商品・サービス
• 情報商材
• 高価な耐久消費財
• 専門的なB2Bサービス
・WebやSNSでの情報発信
・ホワイトペーパー
・セミナー・イベントの開催

アウトバウンド営業は、直接アプローチが必要な新規開拓や特定のターゲット企業に向いており、インバウンド営業は、顧客が自主的に情報を収集し、購入を検討するデジタル商品や専門的なB2Bサービスに適しています。

アウトバウンド営業については下記記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。

顧客接点創出段階

顧客接点創出段階は、営業プロセスにおける重要なステップであり、見込み客との最初の接触を確立する段階です。

次の段階へ繋げるためには、ターゲットとなる顧客層に最適な方法で接触し、信頼関係を築くことが鍵です。

  • リード獲得
  • アポイント獲得

リード獲得

リード獲得とは、将来的に売り上げに繋がる可能性のある見込み顧客の獲得のことで、見込み客との初接触を確立するための重要なプロセスです。

リードを獲得する方法は「広告」「展示会」「Webサイトでの紹介」など、多様なアプローチが可能です。

効果的なリード獲得により、ターゲットとなる顧客層を引き寄せ、関心を持たせることができるため、営業活動の基盤を強化し、次の商談へとつなげることができます。

アポイント獲得

リードを獲得したら、次のステップは商談のためのアポイントを取得することです。

リードから得た顧客に対して、適切なタイミングでアプローチし、商談の機会を作ります。

もしリードが少なかったり、うまくアポイントが取れなかった場合は、架電や飛び込み営業などのアウトバウンド営業の手法を活用し、積極的に顧客との接点を増やしていきましょう。

商談段階

商談段階は、顧客との本格的な交渉を行う段階です。

顧客のニーズを深く理解するためのヒアリングを行い、それに基づいた提案を行います。顧客の課題を解決するための具体的なソリューションを提示し、最終的に契約を締結するクロージングへと進みます。

  • ヒアリング
  • 提案
  • クロージング

ヒアリング

まず、顧客の課題やニーズを把握するために、ヒアリングを行います。

ヒアリングで得た情報は、提案内容をカスタマイズする上で非常に役立ちますが、単に質問するだけでは、必要な情報を引き出すことはできません。

ヒアリングをするコツは

  1. 事前に質問内容を準備
  2. 仮説をたてながら質問
  3. 聞いた質問を深堀
  4. リアクションや相槌
  5. 傾聴の姿勢

ヒアリングの方法や質問方法については、下記記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。

提案

ヒアリングで把握した課題やニーズに基づき、顧客に最適なソリューションを提案します。

単に自社のサービスや商品を紹介するだけではなく、顧客がサービスや商品を利用することで課題を解決するイメージを持たせるための具体的な提案が重要です。

提案力は、経験を積むだけでなく、研修を通じて効果的に身につけることができます。

提案力の研修方法は下記記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。

クロージング

提案内容が顧客に受け入れられたら、契約締結のためにクロージングを行います。

クロージングでは、契約内容の最終調整や顧客との認識のすり合わせが重要です。

また、商品やサービスに興味を持っていても決断に迷う顧客には、適切に背中を押してあげることが、成約に繋がる鍵となります。

ひとえにクロージングと言っても色々な手法があります。

提案をしている顧客によっても最適なクロージング手法がありますので、下記記事をご参照ください。

成約後対応段階

成約後対応段階は、成約後の顧客との信頼関係を深め、長期的な関係を築くために重要な段階です。

契約が成立した後も、アフターフォローやクロスセル・アップセルの提案を通じて、顧客の満足度を高め、さらなるビジネスチャンスを創出します。この段階での対応が、リピーターや紹介客の獲得に繋がり、新しいビジネスチャンスを生み出します。

  • アフターフォロー
  • クロスセル・アップセル提案

アフターフォロー

成約後は、商品やサービスに関するサポートを提供し、定期的なメンテナンスや使用状況のヒアリングを通じて、顧客とのコミュニケーションを継続します。

このプロセスにより、顧客満足度を向上させるだけでなく、顧客が抱える不満や改善要望を拾い上げることができます。

こうしたフィードバックを基に、商品やサービスを改良することで、より顧客の期待に応え、満足度をさらに高めることが可能となり、結果として、リピート購入や他の顧客への紹介など、長期的な信頼関係の構築に繋がります。

クロスセル・アップセル提案

クロスセルとアップセルとは、既存の顧客に対してさらなる価値を提供するための提案方法です。

クロスセル提案:現在利用している商品やサービスをより効果的に活用できるよう、補完的な製品やサービスを一緒に利用してもらう提案

アップセル提案:顧客が現在利用している商品やサービスよりも高価で、より高機能なものを提供する提案

これらの提案は、顧客への定期的な訪問やヒアリングを通じて、新たに発見されたニーズや課題を解決するために行われます。

顧客との継続的なコミュニケーションを通じて、彼らのビジネス状況や要求の変化に迅速に対応し、適切なタイミングでクロスセルやアップセルを提案することが、顧客満足度を高め、長期的な関係を築く鍵となり、顧客にとっても企業にとってもWin-Winの関係が構築され、売上の増加にもつながります。

営業プロセスの可視化・管理方法

営業活動を効果的に進めるためには、プロセスの可視化と管理が不可欠です。

営業プロセスを見える化することで、各段階での進捗状況や課題が明確になり、適切な対応を取ることができます。

可視化と管理方法

  • カスタマージャーニーマップの策定
  • 自社の営業プロセスの明確化
  • プロセスごとのKPI・KGI設定

カスタマージャーニーマップの策定

カスタマージャーニーとは、顧客の「認知」「購入検討」「購入」「利用」「アフターサービス」「リピート」までの一連のプロセスや体験のことを指します。

カスタマージャーニーマップを策定することで、顧客の認知からリピートまでの一連の流れを可視化することができます。

自社の営業プロセスの明確化

顧客の購入プロセスを理解した後は、自社の営業プロセスを明確にしましょう。

顧客が購入に至るまでの各ステップで、自社の担当部門がどのように連携し、どのタイミングでどのような活動を行うべきかを明確にします。

これにより、営業チームは全体の流れを把握し、具体的な営業活動のスケジュールを策定することができます。各部門の役割や責任を明確にすることで、業務の効率化が図れ、顧客に対する対応も一貫性を持って進めることが可能になります。

また、このプロセスを見える化することで、進捗状況の把握が容易になり、必要に応じた迅速な改善や対応も行いやすくなります。これにより、営業活動全体のパフォーマンスが向上し、結果的に成約率の向上につながります。

プロセスごとのKPI・KGI設定

顧客の購入プロセスと自社の営業プロセスを設定したら、次にKPIとKGIの数値目標を設定します。

KPI:目標達成に向けた進捗を測る具体的な指標

KGI:最終的な目標達成度を測る経営目標の達成度

各項目で数値目標を設定することで、行動の修正や調子が良くない項目の管理が可能となり、営業活動を効果的に進めることができます。

営業プロセスの例

ここまで営業プロセスの重要性やその設定方法について説明してきましたが、さらに具体的な事例として、BtoB営業とBtoC営業に分けて、それぞれの営業プロセスの設定方法をご紹介します。

  • toB営業の例
  • toC営業の例

toB営業の例

戦略設計段階

自社の強みを把握し、顧客のニーズのどの部分の問題を解消することができるのかを見つけ、営業対象の選定を行います。

顧客接点創出段階

顧客選定ができているので、具体的なアクションをし、商談に繋げましょう。

商談段階

商談日前日は商談確認の連絡を顧客へして、リマインドを行い商談を確実に行えるように準備をしましょう。

成約後対応段階

成約後、順調に利用いただいているタイミングで定期的に訪問やヒアリングを行いましょう。

toC営業の例

戦略設計段階

ペルソナシートを作成し、対象顧客と営業手法を選定しましょう

顧客接点創出段階

広告やSNSのインバウンド営業の方法、アウトバウンド営業の方法やノベルティなどの選定をしましょう。

商談段階

店頭販売していただくために、商品見本などの準備をしましょう。

成約後対応段階

メルマガ配信や店頭で使えるチラシなどを定期的に送付、セミナーなどの勉強会を行い、商品についての知識を深めてもらいましょう。

プロセスごとの成果を正確に把握するための施策

営業活動を効果的に成功へと導くためには、各プロセスごとの成果を正確に把握することが不可欠です。

次の施策を行うことで、営業やその他の問題点を早期に発見し、迅速に対応することが可能になります。

  • 日報・週報・月報の実施
  • 部内定例会議での成果報告実施
  • SFA/CRMツールで実績をオンライン管理

日報・週報・月報の実施

営業活動を行う際、業務報告として「日報・週報・月報」の提出が求められることが多く、それぞれ異なる役割を持っています。

日報:その日の行動や成果を報告し、1日の活動内容を社内で共有し、翌日の業務改善に役立てます。

週報:1週間の進捗や成果をまとめた報告書で、週ごとの行動を振り返り、戦略やプロセスの修正に活用されます。

月報:1ヶ月間の達成率や課題を報告し、月単位での成果を確認して、長期的な営業戦略の見直しに役立てます。

これらの報告を通じて、社内で「今日1日どういう行動をしたのか」「今週どういう行動をしたのか」「今月の達成率はどのくらいなのか」を把握し、営業プロセスや戦略の適切な修正を行うことができます。

部内定例会議での成果報告実施

日々の業務報告では成果が主に数字で評価されがちですが、数字以外の成果も同様に重要です。そのため、定期的に報告会を設けてチーム内で情報を共有し、振り返りを行うことが重要です。

報告会は業務時間内に行うことが多いため、効率を高めるために事前にアジェンダを用意しましょう。

アジェンダには、

  • 各メンバーの進捗報告や課題の共有
  • 成功事例の紹介

など、ナレッジとして共有すべき内容を含めると良いでしょう。

また、会議時間は通常30分から1時間程度が適切です。

このような定例会を通じて、数字では見えにくい成果も把握でき、チーム全体のパフォーマンス向上に繋がります。

SFA/CRMツールで実績をオンライン管理

リモートワークやテレワークなどの働き方の変化により、直接会って営業などをすることが減り、営業活動を管理するのは難しくなった。そこで取り入れられるようになったのが、SFAやCRMなどのオンラインツールを活用しての管理です。

これらのツールを導入することで、営業プロセスの可視化が進み、各メンバーの進捗状況や成果をリアルタイムで把握できるようになります。

SFAツール:営業活動の自動化をサポート。リードの管理、顧客とのコミュニケーション履歴の記録、商談の進捗管理などをサポート
CRMツール:顧客との関係性を深めるためのツール。顧客情報の一元管理や、顧客とのコミュニケーション履歴の共有、アフターフォローの計画などをサポート

SFAツールやCRMツールだけでなく、営業管理ツールについては下記記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。

まとめ

効果的な営業活動を行う上で、営業プロセスを体系的に整理し、可視化することは、非常に重要です。

各段階での行動指針を明確にし、適切なKPIを設定することで、営業チーム全体のパフォーマンス向上につながります。

一朝一夕で営業プロセスの最適化は実現できませんが、地道な努力と改善を重ね、自社の状況に合わせることで、最適な営業プロセスを構築することができます。

プロセスを構築する段階で営業力に課題が見つかった際には、ぜひ弊社へお問い合わせください。弊社の営業力で営業のサポートをさせていただきます。

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