営業の成功には、単なる商品説明だけでは不十分で、顧客の心を動かすためには心理学的アプローチや効果的な営業スタンスが不可欠です。心理学を駆使することで、顧客との信頼関係を築き、成約率を大幅に向上させることができます。
今回は、営業プロセスの各段階で実践できる14の心理学的テクニックを厳選してご紹介します。準備段階から提案時まで、幅広く応用できるこれらのテクニックを活用し、営業活動に役立ててください。
目次
営業テクニックには心理学や営業スタンスが重要
営業と心理学は一見無関係に思えますが、実は深く結びついています。
単に商品やサービスの知識を持っているだけでは、興味のある顧客にしか効果的なアプローチができません。営業活動を成功させるためには、顧客の心理を深く理解し、それに基づいた戦略が求められます。
さらに、顧客に価値ある提案を行うという営業スタンスや姿勢も重要です。心理学を取り入れた営業テクニックを駆使することで、顧客との信頼関係を築き、より効果的な提案が可能となります。
準備段階の営業テクニック
営業の成功は、準備段階での取り組みが鍵を握ります。
顧客の課題や自社の商材・サービスを理解するだけでなく、情報収集と戦略策定をしっかり行うことで、その後のアプローチや提案の質が飛躍的に向上します。
ここでは、顧客企業へのアプローチをスムーズに進め、商談の成功率を高めるための効果的な営業準備についてご紹介します。
- 代表電話ではなく部署直通電話を調べる
- 顧客企業の直近ニュースを調べる
- スクリプトを複数用意する
テレアポを行う際の準備についてはこちらでもご紹介していますので参考にしてください。
代表電話ではなく部署直通電話を調べる
営業で架電する際、代表電話にかけるのが一般的ですが、受付で断られることが多く、非効率です。
可能であれば、目的の部署や担当者の直通電話を事前に調べておきましょう。直接コンタクトを取ることで、無駄な手間を省き、時間の節約にもつながります。
直通電話を調べ方
- 展示会やセミナーなどでの名刺交換
- SFAツール
顧客企業の直近ニュースを調べる
商談を成功させるためには、顧客企業の直近ニュースや動向を事前に調査することが欠かせません。
最新の情報を把握することで、顧客の現状や課題、ニーズについて理解を深めることができます。
また、商談の際にその情報を話題に取り入れることで、相手の関心を引きやすくなり、会話の流れをスムーズに進めることができ、商談における信頼関係の構築や、提案内容の説得力を高めることができます。
直近ニュースの調べ方
- 顧客企業のホームページのプレスリリース
- インタビュー記事
スクリプトを複数用意する
1つのスクリプトでは、すべての顧客に効果的な対応ができないことがあります。
顧客の年代や役職によって、課題やニーズの捉え方が異なるため、柔軟に対応することが求められます。そのため、異なる顧客層ごとにいくつかのスクリプトを準備しておくことが大切です。
このように、顧客の属性に合わせてスクリプトを調整することで、より効果的な提案が可能となり、アポイント取得や成約率の向上につながります。
架電時の営業テクニック
架電営業は、顧客とのファーストコンタクトとなる重要なステップです。
この段階で好印象を与え、信頼関係の構築に繋げることが、アポイント取得や商談の成功率を大きく左右します。ここでは、心理学を活用した架電時の営業テクニックを紹介し、効果的なアプローチ方法を解説します。
- 単純接触効果でアポ率を高める
- オウム返しで信用獲得
- フット・イン・ザ・ドアでアポ獲得
- 分析麻痺で日程調整
単純接触効果でアポ率を高める
単純接触効果とは、特定の対象に繰り返し接触することで、その対象に対して好感度や親しみが増す心理現象です。
たとえば、最初は何とも思わなかった人や商品でも、繰り返し接触するうちに好意的な感情を抱くようになります。
営業活動では、定期的にメールや架電を行うことで、顧客との信頼関係を築きやすくなり、アポイント取得や商談の成功率が向上します。
ただし、頻繁すぎる連絡や押し売り的なアプローチは逆効果となるため、適度な間隔で様子を伺いながら、適切な距離感を保つことが重要です。
向いている営業方法
- ルート営業(訪問営業)
- 高額商品・サービスの新規営業
- フォローアップメール・ニュースレター
- 展示会・イベント参加
- ソーシャルメディアを活用した接触
- リマーケティング広告
- 電話フォローアップ
オウム返しで信用獲得
オウム返しとは、相手の言葉を繰り返すことで共感や理解を示すコミュニケーション技術です。
相手の話をそのまま、または少し言い換えて返すことで、「あなたの話をきちんと聞いています」というメッセージを伝えられます。
営業活動でオウム返しを活用することで、顧客は自分のニーズや課題が理解されていると感じやすくなり、信頼関係の構築に役立ちます。また、顧客の意図や本音を確認する手段としても有効です。
フット・イン・ザ・ドアでアポ獲得
フット・イン・ザ・ドア(Foot-in-the-Door)とは、最初に小さな要求を承諾させ、その後に大きな要求を受け入れてもらいやすくする心理テクニックです。人は一度小さな要求を受け入れると、行動の一貫性を保とうとするため、次に続く大きな要求にも応じやすくなります。
営業では、まず簡単な質問やお願いから始めて、徐々に大きな提案に繋げることで、顧客がアポイントや商談に応じやすくなります。
営業 「お世話になっております。〇〇株式会社の△△と申します。本日は御社の採用についてご連絡させていただいたのですが、現在の採用状況について少しお話しお伺いできますでしょうか?」 お客様 「はい。どういう内容ですか?」 営業 「ありがとうございます!今採用活動されているかと思うのですが、今はどういう人材の採用をされていますか?」 お客様 「営業職と総合職ですね。」 営業 「ありがとうございます。弊社、営業経験者の求人が多く、御社の業界を希望されている求職者も多いので、弊社の人材や弊社のシステムなどについて詳しくご紹介させていただきたいので、30分ほどお打ち合わせをお願いできませんか?」 |
分析麻痺で日程調整
分析麻痺(Analysis Paralysis)とは、情報や選択肢が多すぎて、かえって決断ができなくなる状態を指します。営業では、選択肢を適度に絞ることで、相手に決断の余地を与えつつ、迅速な判断を促すことが重要です。
例えば、「来週の火曜日か木曜日、どちらがご都合よろしいでしょうか?」といったように、2~3日の選択肢を提示することで、相手に決断をしやすくします。ただし、選択肢を増やしすぎると逆効果になりかねません。
適切に情報や選択肢を絞り込み、顧客が自分で決めたと感じられるようにすることで、その後の営業活動がスムーズに進むでしょう。
営業 「〜弊社のサービスについて詳しくご説明させていただきたいので、来週の火曜日か水曜日の午後などご都合いかがでしょうか?」 「〜今ご購入いただけますと、3日後からお届けができますが、土曜日と日曜日ならどちらの方がご在宅ですか?」 |
商談時の営業テクニック
商談は、顧客との関係を深め、ニーズに応じた提案を行うための重要な場面です。この段階で顧客の信頼を獲得し、納得感のある提案を行うことが、成約へとつながる鍵となります。ここでは、商談時に活用できる心理学を取り入れた営業テクニックをご紹介します。
- 商材の使用画像・動画を用意する
- 顧客企業名を入れたカスタマイズ資料を用意する
- オープンクエスチョンで課題感を認識してもらう
商材の使用画像・動画を用意する
営業の場面では、製品やサービスの使用シーンを視覚的に示すことで、顧客の理解を深め、具体的なイメージを持ってもらうことが効果的です。実際の使用例や導入効果を示す資料や動画を準備し、視覚に訴える工夫を行いましょう。
人が他者から受ける印象や感情の影響を判断する際、
言語情報(Verbal): 7% — 言葉そのものや内容 音声情報(Vocal): 38% — 声のトーン、スピード、抑揚など 視覚情報(Visual): 55% — 表情、身振り手振り、姿勢など このように、印象の93%は非言語的な情報で決まると言われます。
これを、メラビアンの法則といいます。
この数値からも、営業や接客、プレゼンテーションなどの、相手に何かを伝える場面では、言葉だけでなく、声のトーンや表情、ジェスチャーにも気を配ることが重要です。
顧客企業名を入れたカスタマイズ資料を用意する
営業資料に顧客企業名を入れたカスタマイズ資料を用意することは、顧客に特別感や専用感を演出し、関心を引く効果的な手法です。
顧客の課題やニーズに合わせた具体的な提案を行うことで、「自分たちのための資料」という意識が芽生え、商談の成功率が高まります。
また、顧客企業名や業界特有の用語を盛り込むことで、提案の具体性と適合性も高まります。
さらに、カスタマイズ資料を用意することで、顧客は「お返しをしなければならない」という心理的な圧力を感じることがあります。
これを好意の返報性と呼びます。この心理効果は、社会的なルールや人間関係の基本的な原則として広く認識されています。
オープンクエスチョンで課題感を認識してもらう
オープンクエスチョンとは、回答者が自由に考えを述べられる質問の形式で、主に「はい」または「いいえ」で答えられないものです。
営業活動時は、顧客が自分の課題やニーズを深く認識できるようにするために用います。
これにより、顧客自身が問題を自覚しやすくなり、より具体的なニーズを引き出すことができます。対話を進める際にオープンクエスチョンを使うことで、顧客とのコミュニケーションを深め、効果的な提案へと繋げることが可能です。
「今後人材が足りないとき、どう確保する予定ですか?」 「どのような点で現在の製品に満足していないと感じますか?」 「このプロジェクトの成功に必要だと思う要素は何ですか?」 「最近の経験で、特に印象に残っていることは何ですか?」 |
提案時の営業テクニック
提案時の営業テクニックは、顧客に対して具体的で魅力的な提案を行うための重要なステップです。商談の最後で効果的に提案を行うことで、顧客の関心を引き、意思決定を促すことができます。
ここでは、提案時に活用できる営業テクニックを紹介し、顧客にとっての価値を明確に伝え、最終的な成約に繋げるための方法をお伝えします。
- 両面提示で信用獲得
- ウィンザー効果で提案の信頼を高める
- バンドワゴン効果で安心させる
- 松竹梅の法則で成約につなげる
両面提示で信用獲得
営業では、商品やサービスの良い面を伝えることに注力しがちですが、デメリットを伝えることには不安や抵抗を感じることもあります。しかし、顧客からの信頼を得るためには、単にメリットだけを伝えるのでは不十分です。
両面提示とは、提案や説明の際に、商品のメリットに加えて、欠点やリスクなどのデメリットも併せて提示する手法です。これにより、顧客に対して信頼感を与え、より現実的な判断を促すことができます。メリットとデメリットの両方を正直に伝えることで、誠実で信頼性のある提案となり、顧客の信頼を得やすくなります。
ウィンザー効果で提案の信頼を高める
ウィンザー効果(Windsor Effect)とは、第三者の推薦や意見が、自分の直接的な提案よりも信頼されやすく、説得力を持つという心理現象です。
第三者の評価や口コミを活用することで、営業担当者自身の提案よりも高い信頼を得られ、より説得力を持たせることができます。
バンドワゴン効果で安心させる
バンドワゴン効果(Bandwagon Effect)とは、「みんながやっているから自分もやる」という心理現象で、多くの人が支持しているものや流行していることには、他の人も同じように支持や参加をしたくなる傾向があります。
他の顧客がすでに採用している事実を伝えることで、顧客に「自分も同じ選択をしたい」と感じさせ、導入への安心感を高めることができます。
松竹梅の法則で成約につなげる
松竹梅の法則(Shōchikubai Principle)とは、複数の選択肢を「松」「竹」「梅」としてランク付けし、顧客に選びやすくする方法です。
この法則では、高額、中額、低額の3つのプランを提示し、中額プランの魅力を高めることで、顧客が中間の選択肢を選びやすくなるようにします。これにより、顧客の選択を誘導し、満足度を高めることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか、すぐにでも営業活動の各段階で活用できる14の心理学的テクニックをご紹介しました。
営業の各段階で心理学を活かしたテクニックを取り入れることで、顧客との信頼関係を築き、アポ取得から成約までのプロセスをスムーズに進めることが可能です。ぜひ、これらのテクニックを活用して、営業活動に役立ててください。
弊社には、88業種200社以上の企業の営業を支援したノウハウがございます。もし、営業でお困りのことがあればぜひお気軽にお問い合わせください。
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入社2年間営業チームでtoB,toC向け商材の営業を行う。 その後、バックオフィスとして10年以上営業以外全てのサポート業務に従事し、 多数の営業パーソンの起業独立にも携わる。 その他にもマーケティングやリクルーティングも兼任。