働き方改革の推進などの背景もあり、企業では営業活動の効率化が重要視されています。しかし営業活動を効率化するための具体的な方法や、得られるメリットがわからないと考える企業も少なくありません。
そこで本記事では、営業活動を効率化する重要性や具体的な施策例などを紹介します。また、実施する流れや成功させるための方法も紹介しているので、役立ててください。
そもそも営業活動の効率化とは
営業活動の効率化とは、営業に関連する全ての業務のムリ・ムダ・ムラを見直し、必要に応じて削減などを実施して効率を高めることです。顧客との商談などの対面営業だけでなく、見積書の作成や事務作業などの業務も含まれます。
営業活動の効率化を進めるには、広範囲の業務にわたって見直しや改善策の検討などが必要になるため、それに伴う人材のコストや手間などがかかってしまいます。また、効率化を進めることで、社員にも負担をかけることになるでしょう。しかし営業活動を効率化すれば、さまざまなメリットが得られます。
営業活動を効率化させるべき理由とは
企業はなぜ営業活動を効率化させなければならないのか、以下でくわしい理由を解説します。
売上アップにつながるため
営業活動を効率化すべき理由は、削減した時間を商談などに充てることで売上アップにつなげられるからです。効率化によって業務のムリ・ムダ・ムラをなくすことができれば、削減できた時間を見込み顧客にアプローチするための業務に費やせます。
1日にアプローチできる見込み顧客の数が増えるので、新規顧客の獲得数をさらに伸ばすことも可能です。新規顧客の獲得数が伸びれば、成約率も高まるので売上アップが期待できます。
営業のクオリティが上がりやすいため
営業活動を効率化すべき理由は、営業のクオリティを上げられるからです。効率化によってムダな業務を見直して削減できれば、浮いた時間を営業の質を高めるための業務に有効活用できます。
例えば見込み顧客や既存顧客から聞き取りする方法を改善したり、商談を有利に進めるための戦略を練るなどの時間に充てたりするのも有効な手段です。営業活動を効率化したことで余力が生まれるため、営業の質を上げやすくなります。
担当者の負担軽減につながるため
営業活動の効率化を成功させられれば、担当者の負担を軽減させることも可能です。営業パーソンは商談などの外回りの他に、見積書や商談に使用するパワーポイントなどの資料作成をこなさなければならず、日々の業務に追われている担当者もめずらしくないでしょう。
担当者の負担を軽減させるためにも、営業の効率化を進めましょう。
顧客満足度の向上を図れるため
営業活動の効率化は、顧客満足度の向上を目指したい場合に効果的です。効率化を実現できれば、営業活動のムリ・ムラ・ムダを削減でき、浮いた時間を活用して営業の質を高めたり、新規顧客の獲得のための時間に充てたりできます。
顧客の課題を解決するためのアプローチも考える時間を作れるので、顧客に満足してもらえる可能性が高まります。結果的に、顧客満足度の向上をはかることができるでしょう。
効率化できる営業業務の例
効率化が可能な営業業務の例を紹介します。代表的な業務は、以下のとおりです。
・アプローチに向けた事前準備
効果的なアプローチで成約につなげるためには事前準備が不可欠ですが、情報収集には時間がかかります。顧客に関する情報収集にかける時間を前もって決めておけば、大幅な効率化が可能です。
・見積書・契約書などの書類作成
見積書や契約書などの書類を一から作成すると、担当者の負担になります。あらかじめフォーマットを作成したり、自動作成が可能なSFAツールなどを導入したりすれば、書類作成の時間を削減できます。
・営業会議
営業会議に時間をかけすぎると、担当者がアプローチにかけられる時間が減り、件数を増やせません。営業会議は議論するテーマを明確にしておき、予定時刻に終了させるようにしましょう。
営業の効率化を実現する流れ
営業活動を効率化する際、現状把握・優先順位・方法の検討の3ステップに分けることができます。
まずは現状把握
営業活動を効率化するには、まず現状の課題や改善点などの把握が欠かせません。具体的には、担当者からヒアリングして、業務ごとに工数や時間数などのデータを集めます。よくある課題として、次のようなものが挙げられます。
・営業リストの作成に時間がかかる
・顧客への返信に時間をかけている
・商談のアポイントメントがとれない
現状を把握できれば課題が明確になるので、効率化するためにどうすればいいのか、改善策を見つけやすくなります。
業務に優先順位を設ける
課題を洗い出した後は、それぞれの業務に優先順位を設定します。洗い出した全ての課題を一度に改善するのは現実的ではありません。優先順位をつけた上で、優先度の高い業務から効率化を進めることが重要です。優先順位を設ける際は、以下の3つに分けることをおすすめします。
・緊急性がある業務
・中長期の計画を立てて実施すべき業務
・外注が必要な業務
リソースの不足により、自社で対応できない業務は外注を検討しましょう。
効率化の方法を考える
それぞれの業務の優先順位が決まったら、優先度の高い業務を効率化するための方法を検討します。効率化の方法を検討する際は手段だけでなく、いつまでに誰が実施するのか、具体的な締切まで決定しておきましょう。
対応する部署・担当者を決めておくことで責任の所在を明確にできるため、先延ばしするのを未然に防止できます。期限を設定する場合は、すぐに対応できる業務は1カ月以内を目安にし、中長期の計画を立てる必要がある業務は6カ月を目途に決めましょう。
営業の効率化を成功させる方法とは
営業活動の効率化を成功させる方法には、さまざまな手段があります。それぞれの方法を確認しておきましょう。
担当者の意識改革を実施する
営業活動の効率化を成功させるためには、担当者の意識改革を行うことが重要です。優れたツールの導入や効率化を社内周知しても、現場で働く担当者の意識が変わらなければ、効率化を進められません。担当者の意識を変えるには、時間がかかるなどの効率が悪い業務があると認識させることから始めましょう。
成約につながる可能性が低い顧客からの問い合わせを減らす
成約につながらない顧客からの問い合わせを減らし、成約につながる可能性が高い顧客の問い合わせにしぼることも大切です。成約につながらない顧客とは、温度感が低い顧客のことです。
サービスの導入を検討する段階まで進んだものの、契約には至らなかった場合や、自社の商品・サービスでは顧客の課題を解決できないとわかった場合などが該当します。自社の商品・サービスに関心が低い顧客にアプローチを続けても成約につながる可能性は低く、営業活動にかけた労力や時間、コストがムダになってしまうかもしれません。
一方で自社の商品などに関心が高い顧客は、成約につながる可能性が高いです。温度感の高い顧客の問い合わせにしぼって対応すれば、売上アップが期待できるでしょう。温度感の低い顧客からの問い合わせを減らすには、問い合わせが多い内容の回答をまとめた資料のダウンロードページやFAQの設置がおすすめです。
インサイドセールスを利用する
営業活動の効率化を成功させるなら、インサイドセールスを導入しましょう。インサイドセールスとは、自社の商品・サービスへの関心が低い見込み顧客に対し、オンライン会議ツールや電話、メールなどを利用して行う営業手法です。
インサイドセールスを実施するタイミングは、担当者が商談する前です。成約の可能性が低い見込み顧客にインサイドセールスを行い、信頼関係を構築していきます。
インサイドセールスのメリットは、対面営業に比べて移動する手間や時間がかからないため、1日にアプローチできる件数を増やせることです。インサイドセールスによって信頼関係を構築し、見込み顧客の温度感が高まったタイミングで、担当者へ送客して商談のステップに進めていきます。
見込み顧客の情報をまとめる
見込み顧客からヒアリングした情報を顧客リストにまとめておくことで、営業活動を効率よく行えます。顧客リストとは、営業活動で収集した顧客情報をまとめたリストです。リスト化する内容例は、次のとおりです。
・個人名もしくは企業名
・住所
・連絡先
・担当者名
・獲得ルート
・過去の成約率
・対応履歴 など
顧客リストを一元管理すれば成約率の高い顧客の傾向や獲得ルート、効果的なアプローチ方法などがわかり、見込み顧客へのアプローチ方法などを検討する際に役立ちます。
効率がよい営業活動を行えるため、成約につながる可能性も高まるでしょう。顧客リストを部署で共有すれば、アプローチをかける顧客が重なるなどのトラブルを未然に防止できます。
営業マニュアルを作る
営業活動の効率化を成功させるためには、営業マニュアルを作成しましょう。営業マニュアルとは、営業業務の種類や役割、具体的な方法などを細かく記載したものです。
営業マニュアルを作成して担当者と共有すれば、人材育成や業務の引き継ぎなどをスムーズに行えます。またマニュアルに沿って営業業務を指導するため、指導者によって教える内容にばらつきが出るのを未然に防げます。
営業活動の振り返り、改善をはかる
担当者に営業活動の振り返りを徹底させ、改善をはかる仕組みを作ることも大切です。営業活動を行うだけで済ませてしまえば、今後の課題や改善点を考えられないため、非効率な営業になる可能性が高まります。
振り返りを行うことで、上長から適切なフィードバックをするのも効果的です。
営業活動の実施後に日報を記録するルールを設け、担当者に日々の営業活動を振り返らせます。上長は担当者が作成した日報を確認し、必要に応じてアドバイスしましょう。
書類作成に関する作業を効率化する
営業活動を効率化させる上で、書類作成にかかる作業の見直しを行いましょう。見積書・契約書などの書類を作成する場合は書類の作成だけでなく、必要な情報やデータの収集などの作業も発生します。
書類のフォーマットを事前に作成しておくことで、作業時間を短縮できます。また、ツールを活用すれば、書類の自動作成による業務の削減も可能です。
SFAを用いて商談自体を効率化する
SFAツールは、営業活動の効率化に不可欠なツールです。SFAツールとは、営業活動の効率化のために開発された営業支援システムです。営業活動に特化した機能を備えています。例えば次のような機能があります。
・顧客管理
顧客管理は、入力事項に沿って情報を打ち込むだけで、顧客情報を一元化できる機能です。検索機能の活用により、顧客ごとの商談の段階も一目で確認できます。
・営業日報
営業日報は、日報や週報の入力・管理を行える機能です。社内パソコンだけでなく、システムと連携したスマートフォンからも入力や閲覧が可能です。上長は、外出先でも日報の確認や担当者へのフィードバックができます。
・見積書作成
見積書の作成に必要な事項を入力しておくことで、自動作成できる機能です。書類作成にかかる時間を削減でき、浮いた時間は見込み顧客や既存顧客とのコミュニケーションに充てられます。
SFAツールを導入すれば、営業の進捗や商談内容などの情報を一元管理できます。
社内で営業ノウハウ・スキルを共有する
営業活動の効率化を成功させるには、社内で営業に関するノウハウやスキルを共有しましょう。営業成績がよい担当者のスキルやノウハウを共有すれば、成約につながりやすいアプローチ方法などの共通点がわかり、営業活動を効率化しやすくなります。
外部委託・アウトソーシングを検討する
外部委託・アウトソーシングを検討するのも、営業活動の効率化に有効です。営業業務の一部を外部委託するメリットは、営業のノウハウやスキルを持つ人材に任せられるため、担当者は顧客とのコミュニケーションや商談などの成約につながる業務に集中できることです。外部委託が可能なのは、以下の業務が挙げられます。
・営業マニュアル作成のサポート
・企画書やプレゼン資料作成のサポート
・DMの発送
・データの入力
・カスタマーサポート
まとめ
営業活動の効率化が重要視されるのは、売上アップや営業の質・顧客満足度の向上などのメリットがあるからです。しかし、営業活動は書類作成から商談まで幅広い業務があるため、効率化するには時間や手間がかかります。外部委託も検討しつつ、自社に合った方法で効率化を進めましょう。
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