コミュニケーション能力やヒアリング力、課題発見力など、さまざまなスキルが求められる営業職。スキルを磨くためには日々現場で経験を積むことが必要ですが、それだけでは得ることのできない知識やテクニックもあります。そこでおすすめしたいのが本から学ぶという方法です。現場だけではインプットできない知識やテクニック、ビジネス書を中心とした本から学び、現場でアウトプットしさらに試行錯誤することで効率的にスキルを磨くことができます。
ただし、ビジネス書の中でも営業に関係する本は世の中に数多く流通しているため、自分に合ったものを選ぶことが大切です。そこで今回は、自分に合った営業担当者向けの書籍の探し方と、おすすめの書籍についてご紹介します。
目次
営業の成果に繋がる本選びのポイント
「営業職」と一口にいっても個人営業(BtoC)なのか法人営業(BtoB)なのか、ルート営業なのか飛び込み営業なのか、商品はどのようなものなのかなど、種類やシチュエーションもさまざまです。そのため、営業に役立つ本を選ぶ際にも単純に営業という大きな枠組みで選ぶのではなく、今自分に必要な情報は何なのかを見極めた上で、選ぶことが大切です。ここでは営業に役立つ本を選ぶ上で押さえておきたいポイントを紹介します。
キャリアに合わせて選ぶ
営業に関する本には特定のキャリア向けの内容が書かれているものが多く出版されています。そのため、新人営業マンの場合は、まずはマナーや挨拶、心構えなど営業に関する基礎が学べるものを選び、繰り返し読みながら基礎をしっかりと身に付ける方法がおすすめです。
一方、中堅以上の営業マンであれば、日々の営業活動の中での困りごとや、頻繁に直面する問題もある程度把握できているはずです。そのため、基礎を身に付けるというよりもスキルアップを目的としたものを選びましょう。経験談など実例が書かれているものも、自分が同じ境遇にならなかったとしても「こんな考え方があったのか」と新たな視点を持つきっかけになることがあります。
業界別で選ぶ
同じ営業職でも業界によって売り方が異なることは珍しくなく、そのため、特定の業界の内容について書かれている営業担当者向けの本も数多く出版されています。その中でも保険業界や不動産業界では専門用語が多いため、特に新人営業マンの場合は業界別の営業本もおすすめです。また、営業職の経験はあるものの、異なる業界に転職をして営業マンの場合も、業界に特化したノウハウを効率良く身に付けることができるでしょう。
求めるスキルに合わせて選ぶ
現場での経験を重ねるうちに、自分の得手不得手を意識するなど、他の営業マンを見て自分に足りない能力に気付かされることもあります。営業職はさまざまなスキルが必要とされるため、営業担当者向けの本には特定のスキルに限定して書かれているものも豊富です。その中でも特にトーク力に関する本は、なかなか自分一人では気付かないポイントについても多く書かれているため、一度は読んでおきたいところです。また、心理学の本も営業に役立つことで知られています。それは、心理学を学ぶことで「このようにアプローチするとお客様はこう感じやすい」といった相手の気持ちを推察する力や洞察力を身に付けることができるからです。また、心理学を学ぶことは自分自身のメンタルケアにも役立ちます。
ベストセラーから選ぶ
「営業についてもっと勉強した方がいいのかな」と思いつつも、読書の習慣があまりなく、いまいち読破できるか自信が持てないという人もいるでしょう。そのような場合は、ひとまずベストセラーとなっている本を選んでみる方法もおすすめです。ベストセラーということは、相対的ではあるものの多くの人の心を揺さぶったということですし、読みやすさの面でも一定の安心感があります。また、「人気のある本」ということで、本を読む上でのモチベーションにもなるはずです。
営業担当者が読むべきおすすめ8選
ここからは実際に営業担当者におすすめの書籍をご紹介していきます。今回ご紹介する8冊は営業に関わらず多くのビジネスマンの参考になるような、是非読んでおきたいものばかりです。「どうせ読むなら評判の良い本がいい」「営業本が多すぎてどの本から読めばいいのかわからない」といった方は、是非参考にしてみてください。
大型商談を成約に導く「SPIN」営業術
ニール・ラッカム(著)/岩木貴子(翻訳)
出版社:海と月社
出典:
本書は行動心理学の研究者である二―ル・ラッカム氏が12年間で35,000件以上の商談データを分析し考案したSPIN営業術について書かれています。本書では大型商談と小型商談の違いを明確にした上で、利用できる商談のタイプがしっかりと明記されているため、読む側もSPIN営業術が利用できる場面をイメージしやすいという特徴があります。そして、SPIN営業術の手法を使いこなすためにはある程度の鍛錬は必要であるものの、その手法は「Situation Questions(状況質問)」「Problem Questions(問題質問)」「Implication Questions(示唆質問)」「Need-payoff Questions(解決質問)」という4つの質問をしていくという至ってシンプルかつ取り組みやすい内容です。大型商談には効果が抜群なため、大型商談を扱うビジネスマンなら必ず読んでおきたいバイブル的な一冊です。
チャレンジャー・セールス・モデル 成約に直結させる「指導」「適応」「支配」
マシュー・ディクソン(著)/ブレント・アダムソン (著)/三木 俊哉(訳)
出版社:海と月社
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本書は全米で40万部、10カ国で刊行されたベストセラーの営業本で、著者であるマシュー・ディクソン氏とブレント・アダムソン氏が独自に考えた「チャレンジャー」と呼ばれるトップパフォーマーの特徴について書かれています。「チャレンジャー」の特徴は一見従来の営業における常識に反しているようにも思えますが、本書を読み進めるうちに、顧客すら気付いていなかった新たな知見に気付くことができるでしょう。本書は大型商談や法人営業において、従来の方法でうまくいかなくなったと感じている方や、顧客との信頼関係と売上が比例していないように感じている方にとって、新たな展開へと導いてくれる一冊です。また、組織としての営業強化を目指す場合にも是非読んでおきたい一冊といえるでしょう。
影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか
ロバート・B・チャルディーニ(著)/社会行動研究会(訳)
出版社:誠信書房
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セールスは相手との交渉であり、その交渉をスムーズに成立させるためには人間の心理について理解を深めておくことが必要です。本書はアメリカを代表する社会心理学者であるロバート・B・チャルディーニ自身がこれまでに経験した訪問販売や宗教の寄付などの「苦い思い出」を交えながら、彼らが用いるテクニックや、騙される人の心理的なメカニズムについてユーモラスに書かれています。本書に書かれていることは心理法則であるため、あらゆる場面でその法則を利用できます。本書を読むことで自分自身が「騙されない側の人間」になれると共に、反対にセールスやマーケティング、交渉などの場面において「説得できる人間」にもなることができるでしょう。参考事例も多く書かれており、楽しく読み進めることができる一冊です。
世界500万人が実践する営業術
ブライアン・トレーシー(著)
出版社:パンローリング株式会社
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米・フォーチュン誌が毎年総収入に基づき全米上位500社をランク付けする「フォーチュン500」。著者であるブライアン・トレーシーは、このフォーチュン500にランクインしたほとんどの企業の営業コンサルをしたという実績を持ち「営業の神様」として知られています。本書では、そんな「営業の神様」が心理法則などを交えながら営業の各過程で求められるテクニックについて詳しく解説。営業の基礎的な部分からワンランク上の営業マンとなるためのポイントまで体系的に学ぶことができます。欧米ならではの独特の言い回しが用いられているなど古典的な部分もあるため、日本流にアレンジすることは必要ですが、本書で紹介されるテクニックは非常に具体的なため、実践に取り入れやすいのも嬉しいポイントです。
新訳 ハイパワー・マーケティング あなたのビジネスを加速させる「力」の見つけ方
ジェイ・エイブラハム(著)/小山竜央 (監修)
出版社:KADOKAWA
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著者のジェイ・エイブラハムがこれまでに指導してきた経営者は1万人。フォーブス誌の「全米トップ5のコンサルタント」にも選ばれるなど、マーケティング業界における「超」有名人である同氏の代表作といわれる本書には、経営に関しての改善すべきポイントが豊富な具体例とともに解説されています。彼の開発したテクニックは、現在あらゆるダイレクトマーケティングにおいてテンプレートとして使われるほど普及しており、本書ではマーケティング業務に携わる上でおさえておきたいテクニックやメソッドがまとめられています。営業企画力をアップさせるためのポイントや、営業トークのヒント、マーケティング的な視点からの提案の方法などを具体的に学ぶことができるでしょう。
イシューからはじめよ──知的生産の「シンプルな本質」
安宅和人(著)
出版社:英治出版
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著者である安宅和人氏は外資系コンサルタント会社であるマッキンゼー・アンド・カンパニーに勤務したのち、イェール大学・脳神経科学プログラムに入学し学位を取得。その後マッキンゼー復帰などを経てヤフー株式会社のSCOや慶応義塾大学の教授を務めるなどさまざまなキャリアを持つ人物。本書はそんな多才な著者による、仕事の生産性を上げることをテーマに書いた一冊で、詳細なテクニックを紹介するというよりも「本当に取り組むべき課題とは何か」や「課題を適切に解決するための手法なにか」といった考え方がまとめられており、考え方のフレームワークについても多数紹介されています。成果を得るためには取り組むべきテーマを見極めることが大切ですが、本書を読むことは、物事の本質の掴み方や仮説を立てて解決するための思考力などを身に付ける一助となるはずです。仕事の生産性を高めるだけではなく、営業において仮説を構築する場面や、提案のシナリオを考える場面でも非常に役立つ内容となっています。
具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ
細谷功(著)
出版社:dZERO
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本書はビジネスコンサルタントである細谷功氏による「わかりやすさ」の象徴である「具体性」と、そこに対峙する「抽象」をテーマにした一冊で、漫画家・一秒氏が描く四コマ漫画とともにその内容が表現されています。一般的に「わかりやすさ」つまり「具体」は良しとされ、「わかりにくい」つまり「抽象」は悪とされがちですが、本書ではこの悪とされがちな「抽象」に市民権を与えることが目的とされており、読み進めることで「頭が柔らかくなる」という感覚が得られます。思考力を広げたり深めたりするためのヒントが多く、営業提案や仮説設定の際にも役立てることができるでしょう。また、商談におけるヒアリング力のアップも期待できそうな一冊です。
スタンフォードの自分を変える教室
ケリー・マクゴニガル(著)/神崎朗子(翻訳)
出版社:大和書房
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著者のケリー・マクゴニガル氏は米・スタンフォード大学の健康心理学者で、心理学や神経科学、医学の最新の知見を用いながら人々の生活の質の向上に役立つ実践的な方法を提案しています。本書はそんな同氏による意志力のコントロールをテーマとした大人気の講義を書籍化したもので、単純にモチベーションや気分だけで行動するのではなく、科学的に実行力を高め、目標達成に向かって動けるようになる方法が具体的に紹介されています。実行力を高めることで営業目標の達成率アップが期待でき、さらに、例えばダイエットや資格取得に向けての勉強など、プライベートでの行動にも影響を与えてくれそうです。
さまざまな方法を駆使しながら最短ルートでの成果を
営業という仕事はスキルや知識さえ身に付ければ誰にでもできる仕事であるとも言えます。しかしその一方で、顧客とより強固な信頼関係を構築し、さらにその信頼関係を成果に結びつけるためには、心理学やデータサイエンスなどの小手先のテクニックではない深く幅広い教養が求められることも事実です。
今回ご紹介した本の数々はいずれもそのような深い部分での教養、いうなれば営業マンとしての人間力を高めるために役立つものばかりですので、是非積極的に読まれてみることをおすすめします。また、当然のことではありますが、本は一度読めばその内容が全て身に付くわけではありません。そのため、一度だけではなく、何度も読み返し、気付きや大切だと思った箇所を書き出すなど、メモを活用することも大切です。
また、営業マンとしての人間力を高めることは、一朝一夕でできることではありません。個人やチームが日々それぞれの力を高めながらも、目の前にあるチャンスを逃さないためには、他者の力を利用するというのもひとつの手です。そして、その方法のひとつが営業代行という方法です。
弊社、Sales and Innovation Japan(セールスアンドイノベーションジャパン)は、法人営業のプロフェッショナルとして、新規事業を中心に過去10年以上にわたり、88業種以上のさまざまな業種で営業代行に携わってきました。そして私たちは、蓄積された成果を出すための方法論やノウハウ、そして数多くの経験によって磨かれた質の高い営業活動により、お客様を成果へ導きます。早期に事業の成長を目指したいお客様におかれましては、是非一度お気軽にお問い合わせいただければと思います。