プロダクトライフサイクルごとの営業代行の活用法②「成長期」

企業が営業代行を活用しようと思った場合、どのようなタイミングで営業代行を使うと最も効果的なのでしょうか。前回は、導入期における営業代行会社の役割について紹介しました。今回はプロダクトライフサイクルの成長期における営業代行会社の役割と活用方法についてご紹介します。

成長期で選ぶべき営業代行会社の特徴

製品の成長期というのは、市場が形成されて売上は伸びるものの、それに伴って競合も増えるため、営業コストや広告コストが急激に増加する時期です。製品によって戦略は多少異なるものの、この段階ではどの会社も決定的な市場シェアを確保できていないことが多いため、競合他社よりも少しでも早く成長し、市場シェアを確保することが求められます。

このような時期における営業代行の役割は、競合他社よりもスピーディに市場シェアを獲得することにあります。厳しい競争に勝ち抜き、市場で頭一つ抜きんでるために、必要な営業力を素早く供給することが求められます。

そのため、営業としての基礎スキルをしっかり身に着けた人材を数多く供給することができる営業代行会社に依頼するのが望ましいでしょう。マネジメントの労力は、多数の人員を抱えている営業代行会社に発注する場合も、人員が供給できない小規模な営業代行会社に発注する場合も、さほど変わらないため、小規模な会社を数多く集める以前に、少なくとも一社以上は多数の人員を供給できる営業代行会社に発注するのが望ましいといえます。また、市場が全国に広がっている場合には、エリアごとに小規模な営業代行会社を都度探すよりも、全国展開している営業代行会社に依頼する方が展開が早いはずです。スピードが求められる成長期においては、その点も考慮すべきポイントになります。

成長期で営業代行会社に依頼する際の注意点

また、成長期のタイミングであれば、営業の仕組みが整い始めている頃でもあるため、導入期と異なり成果報酬型の報酬形態で引き受けてくれる会社も多いでしょう。実際、弊社Sales and Innovation Japanでも市場拡大のタイミングで成果報酬型の営業代行を引き受け、クライアントのシェア拡大をお手伝いしてきた経験があります。コストがかさむこの時期には非常にありがたいと思われるかもしれませんが、成長期に成果報酬で営業代行を発注する場合にも、やはり注意しなければいけないことがあります。

それは、多少CAC(Customer Acquisition Cost、顧客獲得コスト)がかさんだとしても、優秀な人材をアサインするのに必要なフィー(報酬)をしっかりと確保しておくということです。

成長期は熾烈なシェア争いのフェーズです。このタイミングでは獲得した利益をできる限り多く営業・販促費に再投資することが望ましい。ただ、多くの企業が投資回収を急ぐが余り、中途半端な投資しかできず、せっかくの成長機会を逃してしまうのです。実際、弊社の事例でも、類似製品を開発した競合関係にあるA社とB社から近しい時期に営業代行のご相談をいただいたにも関わらず、成長に大きな差が生まれた事例があります。A社は今が勝負と思いっきりアクセルを踏みました。しばらくは赤字も辞さない覚悟で徹底的にシェア獲得にこだわり、営業活動に対する投資の手を止めませんでした。一方B社は、これ以上コストをかけられないということで早々にブレーキを踏みました。目先のコスト削減のために今いる自社社員での営業にこだわり、営業展開が一歩遅れたのです。

結果としてA社は業界ナンバーワン企業となり、その後数年で投資した金額の数十倍の収益を得ることに成功しました。逆に、B社の噂は市場ではほとんど聞くことは無くなってしまいました。

セールスもマーケティングも、ここぞというところで投資していかないと、せっかくのチャンスを逃してしまいます。成長期においては投資を躊躇してはいけません。営業代行をうまく活用すれば、そうしたチャンスを逃すことなく十分なリターンを得ることができます。ぜひ成長期においても積極的に営業代行を活用してみてください。

さいごに

このように、成長期においても活用の仕方次第では有効に機能する営業代行ですが、この話は、成長期までにビジネスモデルとマーケティングの仕組みをしっかりと組み立てられていることが前提になります。0には何を掛け算しても0。素晴らしい仕組み、素晴らしい製品に営業力を掛け算するからこそ、絶大な効果を発揮するという点を付け加えさせていただきます。