企業が営業代行を活用しようと思った場合、どのようなタイミングで営業代行を使うと最も効果的なのでしょうか。前回は、成長期における営業代行会社の役割について紹介しました。今回はプロダクトライフサイクルの成熟期における営業代行会社の役割と活用方法についてご紹介します。
成熟期で選ぶべき営業代行会社の特徴
成熟した市場では、既に何社かの企業が市場シェアの過半を取っていることが多く、かつ市場の成長速度も鈍化しているため、既存の顧客シェアを維持しながら他社のシェアを奪うという守りながら攻めることが求められます。
このような時期における営業代行の役割は、競合他社のシェアを奪うための新規開拓営業にあります。既存顧客のフォローは自社の社員が行い、他社のシェアを奪うために営業代行会社を活用するという活用の仕方が一般的です。見込み客は既に他社プロダクトを利用しているケースが多いため、製品の機能訴求だけで販売するプロダクトセールスではなく、相手の現状をヒアリングし課題に合わせた提案を行うソリューションセールスがより強く求められるでしょう。
そのため、営業としての基礎スキルはもちろん、ソリューション営業の経験と実績のある営業代行会社に依頼するのが望ましいでしょう。特に、インサイドセールスもしくはフィールドセールスにおいて、自社と類似した企業の実績がある営業代行会社だと心強いでしょう。また、この時期であれば営業の仕組み化が一定レベルで実現できていることも多いため、営業を分業体制にして営業プロセスの一部を営業代行会社にアウトソーシングするというのもよいでしょう。例えばテレア代行を成果報酬で行う営業代行会社は何社かありますので、そうした代行会社に発注するのもよいかもしれません。
成熟期で営業代行会社に依頼する際の注意点
ただし、成熟期における新規アポイントの獲得率は、導入期や成長期に比べて低い傾向にあるため、成果報酬型のテレアポ代行会社に依頼するとかえって費用が高くなるケースもありますので注意してください。あくまでも感覚値ではありますが、成熟期のアポ率は成長期のアポ率の30~50%程度です。成長期に5%程度だったアポ率は、成熟期には1.5~2.5%になります。アポ率が下がれば当然1アポ当たりの獲得単価は高くなりますので、自社のプロダクトの競合優位性やアポ率を踏まえた上で、利用を検討されるのがよいと思います。
また、新規開拓営業を丸々営業代行会社に任せる場合、一口にソリューションセールスと言ってもレベル感が異なりますので、どのようなプロダクトを扱ったことがあるかは必ず確認しましょう。例えば、求人広告のソリューションセールスの経験があると言っても、アルバイト採用、新卒採用、中途採用(一般)、中途採用(幹部)では、求められるスキルが異なります。また、小規模事業者(個人事業主)に提案していたのか、中小企業に提案していたのか、大企業に提案していたのかによっても、求められるスキルは異なります。この辺りを事前に確認した上で依頼しないと、ソリューションセールスができると言っていたのに思ったほどマッチしなかった、ということになりかねません。必ずこれらを確認した上で、営業代行の導入を検討されてみてください。
※なお、ソリューションセールス含めた営業タイプの分類については、いくつかの切り口がありますので、また別の機会にご紹介させていただきます。
さいごに
成熟期では、依頼する自社のプロダクトがどれだけ市場シェアを取れているかによって営業難易度が変わります。例えば、自社の市場シェアが圧倒的ナンバーワンであれば、営業代行の成果は出やすいのですが、逆に自社のシェアが極端に低い場合は、営業代行を依頼しても思ったような成果が出ないケースがあります。
事業というのは営業力だけでどうにかなるものではないため、もし自社のプロダクトが市場シェアを十分に取れていないと感じる場合には、営業だけでなくプロダクトの改善に注力するのも一つの手です。成熟期における営業代行会社への依頼は、アクセルを踏んだら確実に前に進むと確信できるタイミングに実施するのがよいでしょう。